[概要]
所在地 :鳥取市
用途 :住宅
構造 :木造 2階建て
建築面積:77.23㎡
延床面積:121.01㎡(約36.7坪)
古くからある城下宿場町の近傍、周囲を山と河川に囲まれた自然豊かな地域に建つ住まいです。この住まいは鳥取開発公社の『地域住宅モデル普及推進事業プロポーザル』で、最優秀提案に選ばれて建築されました。設計においては、地域で育った材料や地域の職人の技術を生かし、地域に馴染む住まいを目指しました。特定の家族に向けた住まいではないため、細かな作り込みよりも、どのような家族が暮らしても使いやすい『おおらかさ』を大切にしています。
[外部の特徴]
外壁は漆喰塗りと杉板張りの自然素材を組み合わせ、シンプルで素朴な外観としました。日本瓦の大屋根は、道路側に向けて葺き下ろして高さを抑え、周囲への圧迫感を軽減して街に馴染ませています。
南側に設けた日当たりの良い庭は地域との繋がりを生み、濡縁(ウッドデッキ)は庭と住まいをつなぐ中間的なスペースとして機能します。また、車椅子の使用や高齢者の暮らしも想定して積極的にバリアフリー化しました。玄関は引戸形式とし、玄関前のアプローチには階段にスロープを併設しています。
[内部の特徴]
玄関に設けた広い土間空間は内玄関へと通じており、住まい手のユーティリティースペースとなるほか、地域住民との交流などの用途にも使用が可能です。リビングルームは住まいの中心に配置し、上部には吹抜けを設けました。リビングルームから内外や2階へと空間が展開し、どこにいても家族との繋がり、地域との繋がりを感じられます。2階に設けた部屋は明確に個室としての区切りを持たず、住まい手の必要に応じて個室にも広間にもなる、可変性の高い作りとしています。
内装には漆喰塗りなどの自然素材に加え、鳥取県産の杉を使用した柱や梁をそのまま仕上げとして表しています。また、内部の建具も全て地元・鳥取の職人の手によって作られており、いずれも見た目はシンプルですが、時と共に味わいを増していく材料です。
また、この地域では前面道路に温泉配管が通っており、住まい手の希望により温泉を給湯することが可能です。その特徴を生かして浴室には吹抜けとウッドデッキを設け、壁や天井はヒノキの板張りで仕上げました。気候の良い時期には、窓を開けて露天風呂を満喫することができます。