美保公園の家

環境の良い住宅地に建つコンパクトな住宅。写真左は河川が流れ、その奥には都市公園がある。

[概要]
所在地 :鳥取市
用途  :住宅
構造  :木造 2階建て
建築面積:66.24㎡
延床面積:105.98㎡(約32.1坪)

 環境の良い住宅地に建つ、コンパクトな住宅です。敷地は南北に細長い形状をしており、2方向が道路に面する角地。西側は小さな河川が隣接し、河川の奥には大きな都市公園を望むことができます。敷地面積自体は決して大きくはないものの、周囲に対して開けた立地となっています。

[外部の特徴]
 棟の位置をセンターからずらし、道路側に葺き下ろしたアシンメトリーな大屋根が特徴です。屋根の高さを抑えることで道路側への圧迫感を軽減しつつ、建築基準法による高さ制限をクリアしています。

 外壁は、白い左官壁(塗り壁)と濃色に塗装した杉板の対比により、重心を下げたシンプルな外観としました。玄関の庇とドアは、アルミの素材感が表れるシルバーカラーを合わせ、軽やかな印象を引き立てています。

[内部の特徴]
 敷地の特徴を考慮し、河川と公園のある側から光と風を取り込む計画としました。
河川に面してテラスやバルコニーを設けることで、内外を繋ぐ中間のスペースとして機能させています。その中間スペースに面して配置したリビングルームの上部には、屋根の形状を生かした吹抜けを設け、家全体の一体感を演出しています。天井高さが抑えられた吹抜けは、解放的でありながら落ち着きも併せ持ち、家族の気配を感じながらゆったりと過ごせる空間となっています。

 室内は珪藻土などの自然素材による仕上げや、鳥取県産の杉を使用した柱や梁が表されており、シンプルで素朴な表情を見せます。コンパクトな住宅ですが、吹抜けや中間領域によって空間が充実し、実際の面積以上の広がりを感じられる住まいです。

左官壁(塗り壁)と杉板の対比、道路側に葺き下ろした瓦の大屋根が外観を特徴づける。

河川に沿ってテラスやバルコニーなどの中間領域を設けている。

コンパクトな玄関ホール。リビングとの間を区切るのは、軽やかな印象の杉ヒゴ入りの建具。

天井まである大容量の下足入れを造り付け、玄関はコンパクトに設計。

河川に向かって開けたリビングルーム。キッチンや和室と繋がって一体的な空間に。

LDKの道路側はプライバシーを確保し、高所に設けた窓より明かりを取り込んでいる。

来客や家族の宿泊など、多用途に対応した和室。普段はリビングルームの延長として使用。

葺き下ろした屋根に沿って設けた吹抜け。天井の高さが抑えられ、落ち着きのある空間。

空を見ながら2階へ。

見通しの良い2階の廊下。

1階と2階が吹抜けを介して緩やかに繋がる。

2階の廊下よりLDKを見下ろす。

2階には寝室を配置。屋根を支える骨組みが室内に表れ、素朴な空間となっている。

軽やかな印象の建具。廊下・吹抜けを介して1階と繋がっていく。

屋根裏空間も活用した、大容量のウォークインクロゼット。

2階のバルコニーから河川を挟み、自然豊かな都市公園を眺めることができる。