土間のある家

[概要]
所在地 :鳥取市
用途  :住宅
構造  :木造 2階建て
建築面積:89.90㎡
延床面積:139.90㎡(約42.4坪)

 郊外の住宅地に建築した、若い夫婦と子どもが暮らす住まいです。若い世帯の住まいでは、家族の誕生や成長に伴って暮らしが刻々と変化していきます。敢えて作り込み過ぎず、暮らしの変化に合わせて柔軟に使い方を変えられる『おおらかさ』を持たせた設計を心がけました。

[外部の特徴]
 杉板張りと漆喰塗りのコンビネーションによる2トーンの外壁に日本瓦葺きのシンメトリーの屋根が乗る、シンプルな外観としています。日当たりの良い庭に面して濡縁(ウッドデッキ)を設けており、大開口の木製サッシを開け放すことで内外が一体的に繋がります。濡縁が内外の中間的なスペースとして機能し、開放的な暮らしを楽しんでいただけます。

[内部の特徴]
 玄関には広い土間スペースを設け、内玄関や勝手口までが一連となった『通り土間』の形態としました。
通り土間は接客・趣味の作業・収納など、多機能に使用できる利便性の高い空間となっています。

 通り土間に隣接してリビングルームを配置し、その上部は吹き抜けとしています。リビングルームを中心に1階から2階までのあらゆる居室が緩やかに接続し、どこにいても家族の気配を感じながら暮らすことができます。各部屋はそれぞれオープンで大きな空間とし、部屋としての明確な区切りを敢えて持たせないことで、家族の変化に合わせて住まい手が柔軟に使い方を変えていくことができます。

 内装には鳥取県産の杉や桧をふんだんに使用し、柱や梁はそのまま仕上げとして積極的に室内に表しています。また、2階の床や屋根は、そのまま天井の仕上げを兼ねています。建築資材を削減して階高を低く抑え、高いコストパフォーマンスを実現すると共に、住まい全体が杉の良い香りに包まれます。柔らかく暖かい杉の床は、1年を通じて素足で気持ち良く過ごしていただくことができます。

ポーチはコンクリートの小壁により道路側からの目線をカットしている。玄関ドアは木製の引戸を造作して設置した。

濡縁に面して大開口の木製引戸を設けている。

玄関は広い土間空間となっている。

格子戸がスペースを緩やかに区切る。

玄関から内玄関、収納まで一体的な土間スペースとしている。

広々としたLDK。右側は濡縁に面する大開口の木製引戸。

LDKは、南から北まで抜ける一体的なスペースとなっている。

こじんまりとした和室スペース。

和室は建具を開け放つことでLDKと一体的な利用が可能。大黒柱が存在感を放つ。

LDKの吹抜けから2階に繋がる。どこにいても家族の雰囲気を感じることができる。

キッチンは籠り感のあるスペースとした。奥の引戸から通り土間へ繋がる。

屋根が表しとなった開放的な空間。

吹抜けに面するフリースペース。建具を閉めると個室としても使用できる。

子ども室は、一つの大きなスペースとして設計。

子ども室は出入口を2か所設けている。子どもの成長に合わせて部屋を仕切ることも可能。