設計者冥利に尽きること

 先日、当社が住宅リノベーションをお手伝いしたお客様に招待いただき、秋のバーベキューを楽しんできました。

 引き渡し時の『がらんとした』状態から半年以上が経ち、お庭も充実。新調した家具と使い込んだ家具が同じ空間に馴染み、しっかりと『住まい』へ変貌を遂げていました。この変化を見届けるのは、設計者冥利に尽きる瞬間でもあります。

 引き渡し後の訪問では、『建物は使う人がいて初めて意味を持つ』ことをしみじみと感じます。私たち設計者は事前にあれこれと細かいことを考えるのが主な仕事ですが、やはり建物は『使ってなんぼ』なのです。実際に住み始めてからの住まいの進化を見たり生の声を聞けることは、注文住宅の設計の仕事だからこそ味わえる感覚です。

 一方で、建築設計の仕事には設計・積算・監理と、デスクワークから現場とのやり取りまで様々な工程があります。どれもやりがいのある仕事ですが、一貫して関わることに醍醐味があると感じます。というのも、当社も設計に携わることがある公共施設では『監理』は仕事の範囲外だったりすることもしばしば。それゆえ、自らが設計した建物が知らないうちに出来上がっていることも多く、利用者の声を聞くこともない…。さまざまな都合があるとはいえ、本当にこれで良いのだろうかと少し寂しい感覚を覚えるのです。

2022年10月9日 | カテゴリー : 仕事, 日記 | 投稿者 : Koh Hokimoto