お盆は大阪へ

 先日は、夏季休暇を利用して大阪へ。COVID19がまた蔓延傾向でしたので外食(会食)は極力避けましたが、一人ブラブラと中之島付近を巡りました。大阪の中心市街地には、最先端の建築物に加えて、戦前から建っている歴史的な建築物が多数残されています。今回は、それらの一部をご紹介。

①大阪中之島美術館

 写真でも分かるように、とてもインパクトのある外観をしています。この建物は、2016年に設計コンペティションで設計案が選定されました。私はこの公開コンペの場に居合わせ、名だたる設計事務所の中から遠藤克彦氏の設計事務所が選定される一過程を見届けたのですが、当時から閉鎖的で異質な印象を放っていた記憶があります。実際に出来上がったものを遠くから見ると、『街の中に黒い物体が浮かんでいる』かのようです。外観写真は2階にある遊歩道から撮っていますが、2階の外壁は全てセットバックしており(引っ込んだ位置にあり)ガラスで構成されています。これが浮遊感を作り出しているわけですね。かなりの存在感があるのですが、黒だからか主張しすぎという感じでもない、不思議な感覚を覚えました。設計の意図通りというところでしょうか。

 建物の内部は、大きな吹抜けを中心に上り下りのエスカレーターが交差する構成となっています。このあたりの構成をパッサージュと称して提案していたような記憶があります。

 内装は全体的に凹凸感のある金属系の仕上げとなっており、コンペ時とは異なるクールな印象になっていました。なお、展示室へ向かうには、大きな吹抜けに設置されたエスカレーターで4階上っていくことになります。高所恐怖症の方は下を見ないことをお勧めします。(怖かったです)

当時の設計コンペの提案内容はこちら(大阪市ホームページ)

 ちなみに、現在倉吉市内で工事中の『鳥取県立美術館』の設計者である槇文彦氏もこのコンペに参加されていました。改めてコンペの提案を見返すと、鳥取県立美術館の設計にも通じるところがあるような、ないような?

②こども本の森 中之島

 安藤忠雄氏が私財を投資して建設、大阪市へ寄贈した子供向けの図書館です。大阪中之島のほかに、兵庫県神戸市、岩手県遠野市にも同様の施設があります。

 お盆期間はCOVID19の影響で入場制限がかかっており、90分の枠ごとに入場者を全て入れ替え、各枠の中で事前予約した100人のみが入場できるシステムでした。子どものための施設ということもあり、いい歳をした大人が嬉々として行くべきではない。しかし、興味はある・・・ということで事前予約はせず、直前に1人キャンセルが出るのを待って入場しました。

 中は、まさに子どものための施設。本棚の高さ、天井の高さといったスケール感が全て子供向けにデザインされています。吹抜けを書架が取り囲み、座って本を読める大階段など、子どもたちが感覚のままに本に触れ合える楽しい設計。

 内部の写真撮影はTPOを考えて自粛しました。というのも、ここは子どものための施設であり、本を楽しむ子どもたちをよそに建築マニアが写真を撮影する場所ではありません。私のほかにも何名か、写真撮影を目当てに入っていると思われる方がいらっしゃいました。メインの吹抜け廻りは撮影が禁止されているわけですが、そのうち一部の方は係員が注意する中で写真撮影を強行しておられました。これでは近年問題となっている自己中心的な『撮り鉄』と同じで、安藤忠雄氏の建築を冒涜しているような気がしました。

 ここは大人だけで行ってはいけません。お子様を連れて行ってみると、初めてこの建築の醍醐味が味わえるでしょう。

2022年8月28日 | カテゴリー : 日記 | 投稿者 : Koh Hokimoto