一級建築士 学科試験

 先週は、2022年度 一級建築士試験(一次試験:学科試験)だったようです。多くの受験生の皆様、ひとまずお疲れ様でした。

 私が学科試験を受けたのは2014年だったので8年も前のことになりますが、この時期になると受験生だった頃のことを思い出します。日々の業務をこなしつつ、家に帰っては寝る間を削って勉強に励む。試験が近づくと、通勤の満員電車の中で、縮こまりながら参考書をひたすら読みました。

 当時は建設会社に勤めており、設計事務所への転職を考えていたころでした。何とか円満に転職をするため、建築設計のプロになる決意表明として絶対に取得したいと意気込んでいたことを覚えています。

 建築士試験は、古より『足の裏の米粒』などと例えられます。その心は、『取っても食べられないし、取れないと気持ち悪い』とのこと。確かに、資格を取っても受注に直結しませんし、資格がないと他の資格者をサポートすることしかできません。では、本当に役に立たないのか?というと、決してそんなことはありません。

 私は結果的に一度目の挑戦で一次試験に合格しました。その後転職して公共施設の設計に従事した際、試験勉強で得た知識は確実に役立っていると実感しました。というのも、試験で問われるのは既存の技術を基にした基礎知識であり、応用問題はありません。それに対して、公共施設の設計では独自性を出すことよりも、確立された技術を用いることが求められます。(特殊なものを除いて)まじめに試験勉強することで実務と知識が結びついて理解が深まり、技術者として一歩前進することができるのです。

 受験者の大半は社会人ですから、過去問題をひたすら解き、答えを覚えて臨む方も多いと思います。一方、物事の本質を理解しながら進めることで、合格後の仕事に繋がっていくことも事実です。そのためには、計画的な勉強と早めの準備(=段取り)が必要不可欠と言えます。

 つまるところ、試験勉強とは仕事とは切り分けられない、ということなのです。

2022年7月28日 | カテゴリー : 仕事 | 投稿者 : Koh Hokimoto