さて、突然ですが、まじめな話をしようと思います。建物が、どのような方法で適法性を担保しているか、ご存知でしょうか。建築物が建つまでには、行政や民間の指定確認検査機関により、複数回の確認・検査が行われます。
- 確認申請
建物が建築関係の法令に適合しているかどうか、設計内容を確認します。似た言葉に、『建築許可申請』というものがありますが、これは全く別の申請行為です。『許可』ではなく、『確認』を申請しているというのがポイントです。また、敷地が『都市計画区域外』に該当する場合は、確認申請が不要となる建物もあります。その場合、確認申請が不要=決まりがないから何をしても良い、というわけではありません。確認を受けない代わりに、設計者が法令遵守意識をもって取り組む必要があります。 - 中間検査
設計内容の通りに工事が行われているか、工事内容を確認します。なお、一般的な木造住宅のような小規模建物では中間検査が省略されています。中間検査がない代わりに、監理者がモラルを持って現場をチェックする必要があります。 - 完了検査
設計内容の通りに工事が行われたかどうか、工事の出来上がりの状態を確認します。
これらが、建築物が完成するまでの一連の流れです。建築士が工事監理を行い、上記の3段階の確認・検査工程をクリアすることで、建築基準法に則って建てられた(建築物の最低基準を満足した)ことが担保される仕組みになっています。
最近は少ないですが、昭和~平成初期などに建てられた建物では、完了検査を受けていない建物が相当数あるようです。実際に、増築やリノベーション・コンバージョン(建物用途の変更)などの相談をいただいても、その建物が確認申請や完了検査を受けていなかったために適法性が証明できず、計画を諦めざるを得ない事例も多数存在します。
次回は、建った後のお話です。