3.「素的」な住まいとは

1.直に建てる

①敷地の環境を正しく捉える

  • 自然環境や景色
  • 周囲の家屋、人々
  • 太陽の動き
  • 風の流れ・・・

 住まいは、敷地の環境に対して素直に作りたいと思います。そのためには、それぞれの敷地が持つ固有の特徴を正確に捉えることが肝心です。

 その敷地を取り巻く環境、暮らしの中の様々なシーンを想像し、心地よい居場所を形にします。

②自然の力を利用する

 自然の力は、素直に利用するのが良いと考えています。すなわち、気候の良い時期には窓を開けて気持ち良い風を取り込み、寒い冬には太陽の暖かさを利用するということです。昔からある基本的な考え方です。

 現代では高性能な空調設備があります。もちろん私たちも使用しますが、それだけに依存するのではなく、できるだけ自然で健康的に暮らせる住まいを作りたいと考えています。

 私たちは山陰地方、鳥取に密着した設計事務所として、地域特有の気候条件も踏まえて住まいづくりを提案しています。

2.朴に作る

①住まいづくりと街づくり

 元々その土地に建っていたかのように、素朴な住まいを作りたいと考えています。

 住まいづくりは、少なからず街に影響を与えます。現代では、家庭のプライバシーを守ることはもちろん重要ですが、外部との関係性を完全に遮断してしまうような住まいの作り方はあまりにも寂しいと感じます。

 住まいから明かりや暮らしの雰囲気、庭の緑が少しこぼれるだけで、住まいも街も表情豊かになっていきます。住まいの在り方を街づくりから考える視点も大切だと思いませんか?

②家族の暮らしと住まいづくり

 住まいづくりは、家族の時間を考えることでもあると思います。

 家族は時間と共に成長し、住まい手の暮らしも少しづつ変わっていきます。住まいには、生活の変化に合わせて柔軟に住まい方を変えられる『ゆとり』が必要です。

 キッチンのように生活の核となる部分は使い勝手を考えてしっかりと作り、その他の部分はあまり作り込み過ぎず素朴なままにする。住まいは『おおらか』であるべきだと考えています。

3.材を活かす

①地元の木を使った住まいづくり

 住まいづくりには、地元で育ったスギやヒノキを使います。地元の木は、皆様と同じ気候風土で育っています。それを住まいづくりに使うことは、とても自然なことだと思いませんか?

 また、地元の林業の継続・森林の循環にも貢献し、持続可能性(サステナビリティ)を高めることにも繋がっていきます。

②柱や梁は表して使う

 柱や梁などの木材は、できるだけ目に見えるように表して作るように工夫しています。

 木は表して使うことでインテリアとして活用できるだけでなく、良い香りが広がり、調湿作用により住まい手の健康を守ってくれる効果があります。そして、住まい手はいつでも木の健康状態を確認できます。

 相互に影響しあって、人も住まいも健康的に暮らせる住まいとなります。

4.のままの暮らし

①快適な住環境づくり

 快適な住環境づくりは、機能的な間取りづくりと同じぐらい重要です。

 私たちは、季節を問わず素足でも気持ちよく過ごせる住まいを、できるだけ自然な形で作りたいと考えています。

 暑さ寒さに縛られることなく空間を自由に活用できるようになれば、これまでにできなかった暮らしの可能性が広がります。住まいの中にたくさんのお気に入りの場所が見つかるでしょう。

②『繋がり』を作る

 住まいには吹き抜けやデッキなどを設け、建物の上と下、あるいは内と外が緩やかに繋がるような工夫をしています。

 境界線が曖昧になる中間スペースにより、従来の部屋単位に区切られた住まいでは得られない『家族との程よい距離感』『庭・街との繋がり』が生まれ、空間が豊かになっていきます。

 いつまでも穏やかに、素のままの暮らしを楽しんでいただきたいと思います。