建物が建つまでに、確認申請・中間検査・完了検査の3工程で法適合性が確認されます。では、建物の引き渡しを受けた後は何をしても良いのでしょうか?
その答えは、建築基準法 第8条に記載されています。そこには『建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。』とあります。つまりオーナー様には、建物の維持に関する努力義務が課されていることになります。
建物のオーナーや利用者は時と共に変わっていき、必ずしも設計時の想定通りに使用されるとは限りません。高額な費用を支払った上、行政の確認まで受けて建てているのですから、オーナー様としては『引渡しを受けた後はどう使おうが自由ではないか?』と思われるでしょう。
しかし、建物を所有するということはオーナー様が維持管理の責任を負うということでもあるのです。建物の劣化を放置したり、法に抵触するような改造が原因で周囲の家屋や通行人への損害を与えてしまった場合、維持管理不足が問われることになります。その責任を果たしていただくため、保木本設計では日ごろから以下の点に配慮しています。
- オーナー様のお気に入りの材料や、補修しやすい材料を提案する
日々愛着を持って建物を見ることは、劣化の早期発見に繋がります。また、オーナー様自ら手入れしやすくすることで更に愛着が湧きます。日々の手入れも立派な維持管理です。
- そもそも劣化しにくい作り方(プラン)を提案する
間取り一つ工夫するだけで、10年後の劣化具合は大きく変わります。オーナー様の要望をとにかく詰め込んだ間取りではなく、シンプルに整理して提案することも必要だと考えています。
- 建築基準法で『やって良いこと、悪いこと』を簡潔に説明する
法律の理解は専門的な知識が必要ですが、建物が法による制約を受ける場合、できる限りかみ砕いて解説(共有)するようにしています。
なお、建築後にも法適合性を確認するための制度もちゃんと存在しますが、別の機会で紹介します。
今回は、ここまで・・・