隈研吾さんの講演会

 本日は、現代日本を代表する建築家・隈研吾氏の講演会でした。コロナウイルス感染者が再び急増中の中、主催していただいた鳥取県建築士会と運営の方々には感謝申し上げます。

 限られた時間ではありましたが、氏の設計に至るまでの理念や発想の一部を伺うことができる貴重な機会であったと思います。大きな成果を収めておられる方のスピリットを感じることで、自分自身の活力にもなります。

 講演会については、後日期間限定でYoutubeに公開されるようです。(8月11日 9:00 ~ 18日 9:00の間)

 Youtubeのリンクは以下の通りですので、是非ご覧ください。 8/18 9:00をもって公開終了しました

2022年8月5日 | カテゴリー : 建築, 日記 | 投稿者 : Koh Hokimoto

建物の維持管理義務?

 建物が建つまでに、確認申請・中間検査・完了検査の3工程で法適合性が確認されます。では、建物の引き渡しを受けた後は何をしても良いのでしょうか?

 その答えは、建築基準法 第8条に記載されています。そこには『建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。とあります。つまりオーナー様には、建物の維持に関する努力義務が課されていることになります。

 建物のオーナーや利用者は時と共に変わっていき、必ずしも設計時の想定通りに使用されるとは限りません。高額な費用を支払った上、行政の確認まで受けて建てているのですから、オーナー様としては『引渡しを受けた後はどう使おうが自由ではないか?』と思われるでしょう。

 しかし、建物を所有するということはオーナー様が維持管理の責任を負うということでもあるのです。建物の劣化を放置したり、法に抵触するような改造が原因で周囲の家屋や通行人への損害を与えてしまった場合、維持管理不足が問われることになります。その責任を果たしていただくため、保木本設計では日ごろから以下の点に配慮しています。

  • オーナー様のお気に入りの材料や、補修しやすい材料を提案する
    日々愛着を持って建物を見ることは、劣化の早期発見に繋がります。また、オーナー様自ら手入れしやすくすることで更に愛着が湧きます。日々の手入れも立派な維持管理です。
     
  • そもそも劣化しにくい作り方(プラン)を提案する
    間取り一つ工夫するだけで、10年後の劣化具合は大きく変わります。オーナー様の要望をとにかく詰め込んだ間取りではなく、シンプルに整理して提案することも必要だと考えています。
     
  • 建築基準法で『やって良いこと、悪いこと』を簡潔に説明する
    法律の理解は専門的な知識が必要ですが、建物が法による制約を受ける場合、できる限りかみ砕いて解説(共有)するようにしています。
     

なお、建築後にも法適合性を確認するための制度もちゃんと存在しますが、別の機会で紹介します。
今回は、ここまで・・・

2022年7月25日 | カテゴリー : 建築 | 投稿者 : Koh Hokimoto

確認申請の話

 さて、突然ですが、まじめな話をしようと思います。建物が、どのような方法で適法性を担保しているか、ご存知でしょうか。建築物が建つまでには、行政や民間の指定確認検査機関により、複数回の確認・検査が行われます。

  • 確認申請
    建物が建築関係の法令に適合しているかどうか、設計内容を確認します。似た言葉に、『建築許可申請』というものがありますが、これは全く別の申請行為です。『許可』ではなく、『確認』を申請しているというのがポイントです。また、敷地が『都市計画区域外』に該当する場合は、確認申請が不要となる建物もあります。その場合、確認申請が不要=決まりがないから何をしても良い、というわけではありません。確認を受けない代わりに、設計者が法令遵守意識をもって取り組む必要があります。

  • 中間検査
    設計内容の通りに工事が行われているか、工事内容を確認します。なお、一般的な木造住宅のような小規模建物では中間検査が省略されています。中間検査がない代わりに、監理者がモラルを持って現場をチェックする必要があります。

  • 完了検査
    設計内容の通りに工事が行われたかどうか、工事の出来上がりの状態を確認します。

 これらが、建築物が完成するまでの一連の流れです。建築士が工事監理を行い、上記の3段階の確認・検査工程をクリアすることで、建築基準法に則って建てられた(建築物の最低基準を満足した)ことが担保される仕組みになっています。

 最近は少ないですが、昭和~平成初期などに建てられた建物では、完了検査を受けていない建物が相当数あるようです。実際に、増築やリノベーション・コンバージョン(建物用途の変更)などの相談をいただいても、その建物が確認申請や完了検査を受けていなかったために適法性が証明できず、計画を諦めざるを得ない事例も多数存在します。

 次回は、建った後のお話です。

2022年7月6日 | カテゴリー : 建築 | 投稿者 : Koh Hokimoto